一般に強いといわれる日本人ボクサーは、何故あれだけの精神的適性、練習量、経験があってもそれ以上に行きにくいのでしょうか。愚考するにボクシングの組み立て、構築が単なる漠然とした模倣にすぎず堅牢な理論、合理性に裏づけられたものではないからでしょうか。
例えば、欧米人、又黒人、ラテン系人等、腕力、バネ、リズム感等に比べ私達日本人は残念ながら劣っています。その人たちのボクシングを真似しても自ずと限界があるはずです。 日本人には日本人に適したボクシングがあるはずだと確信しています。
私の視点の一例をあげますと身体部位の動きを生み出すほとんどの力は回転の要素(トルク)で表されるので、動きにはその中心すなわち回転軸があります。人体には、理論上の重心を通過する3本の基本軸があり、全てが腰部、特に仙骨でクロスしています。
古来、日本人は腰を全ての動作の中で非常に重要視してきました。曰く、腰が強い、二枚腰、腰がきれる、腰が立つ、腰でさばく、腰を入れる、腰を据える・・・反対に、腰が弱い、腰が入らない、腰が抜ける、へっぴり腰、腰を折る・・・等々、身体操作だけでなく、人生一般にもあてはめています。
私のボクシング理論も腰を重要視しています。いわゆる骨盤、その中心たる仙骨(天体でいえば北極星に相当)、そしてその回転軌道たる腸骨、さらに我々大和民族が一番多用する四番腰椎(すり足、しゃがむ動き)及び上半身、下半身を直結する股関節を無理なく、過不足なく合理的に操作し、しなやかで強靭な動きを考究するところにあります。
ボクサーを視る・育てる視点
- 1. フットワークのスピード及びキレ/フットワークのスタミナ
- 2. 攻撃のスピード/攻撃のパワー/攻撃のスタミナ
- 3. ジャブの完成度
- 4. インパクトが鋭く短い
- 5. 防御の正確さ/防御のスピード
- 6. 動きに緩急及び強弱のメリハリがあるか
- 7. 一般のボディワークのしなやかさ
- 8. 膝の柔軟さ及び粘り
- 9. 呼吸の巧拙
- 10. 全体のバランス
- 11. 練習の質量
- 12. 研究心
- 13. 経験から学ぶ力
- 14. 集中力
- 15. 冷静さ
- 16. 謙虚さ(素直さ)
- 17. 勝負度胸
- 18. 闘志
- 19. 根性
PROFILE
他学習塾塾長を経た後、1988年に府中で大森塾経営。
2002年に杉並区荻窪でボクシングジムを併設し学習塾「銀河ゼミ&ジム」設立。
2009年6月末、名称を「大森ジム」と改め 当地にて健康増進と技術向上を目的としたボクシングジムを経営。祖父、叔父共に剣道8段。父、従兄弟も高段者の家系に生まれるも思うところあり18歳でボクシングを始め、以降アマチュアボクシング選手、トレーナーとして40年以上ボクシングに関わる。
東京オリンピック強化コーチ 広川氏に師事。〔アマ歴 17戦11勝(10KO,RSC」6敗〕
2016年3月退任
2017年4月より技術指導で復帰(毎週土曜14時~17時)