世界80位が意味するもの
先日、日本で初めて開催された、ローラン・ギャロス ジュニア シリーズに仕事で関わった。
ローラン・ギャロス(Les Internationaux de France de Tennis, Roland-Garros、sは仏語では発音しないのでローランギャロの表記もあるが、ここでは一般的な英語読みで)はテニスの4大国際大会であるグランドスラムの一つ、全仏オープンのことで、開催場所がパリ郊外のブローニュにあるローラン・ギャロスという独特のクレーコートで開催される。
今回はじめて来年のローランギャロスのワイルドカードをかけたトーナメントが日本で開催される運びとなった。今はボクシングジムを生業としているが、学生時代はテニスのコーチで世田谷区のジュニア選手の指導をしていたこともあり、だいぶ遠ざかってはいるが、テニスはいつも気になるスポーツではあった。
今回はフランステニス連盟の理事や大会アンバサダーの錦織選手と話す機会があり、いくつか興味深い話を聞くことができた。テニスは日本では人気のスポーツだが、トップクラスを目指すにはほかの競技同様にスタートが早く、幼少時から体には不釣り合いなラケットを握り、コートでボールを追いかける。グランドスラム大会のフルセットはフルマラソンやボクシングの12ラウンドと並んで人間の限界で競う競技とされるが、ストップアンドゴーの不規則な動きを一試合で累計2~3キロ以上こなし、サービスのスピードは200km/hを超える。スピード・パワー・持久力そして戦略、個人競技として様々な魅力を備えるスポーツで世界でも競技人口が多い。
そして体重制ではないため、世界一位は紛れもない世界一。この世界でまず目指すべきものは100位以内で、80位ぐらいから転戦するトーナメントの移動やサポートする人員の費用を賄えるようになってくるとのこと。一方、ボクシングは階級制で、世界チャンピオンが何人いるか数えてみた。メジャー団体の合計で80人超…、なるほど単純な比較はできないが、上位80という数には同じような意味があるかもしれない。
ちなみに大会アンバサダーを務めた錦織選手はかっての世界ランクは4位、パウンドフォーパウンドに匹敵するだろう。かつてジュニアを教えていた何十年も前は、テニスでも野球でもボクシングでも、錦織選手、大谷選手、井上選手など世界が驚愕するレベルの日本人選手の活躍は物語の中だった。
ローラン・ギャロス ジュニアでも世界を狙うジュニア選手が多数いて、次代を担う選手に機会を与える仕事に関われたのは、本当に有意義だった。