100円の恋にあこがれて

2016.03.21

ある日、大学生のみのりちゃんがジムにやってきて、

「100円の恋みたいになりたんですけど・・・」

「なんじゃそりゃ??」

今でこそ、安藤さくらさんが日本アカデミーショー主演女優賞に輝いたボクシングの映画だってことは周知の事実ですが、、、当時はまだなんのことやら。

100円の恋に憧れて入会したって聞いて、Wikiであらすじを調べて、「なに~っ、ち、中年ボクサーと恋に落ちるぅ!」で勘違いしたオヤジ連中も少なからずいました(笑

 

憧れたのは、安藤さくらさんが演じた、ヒロイン「一子」のように強くなりたいってことです。

映画は最初の映像から、、、かなり悲壮な感じで、はたしてこれを観つづけていいもんだろうか??と思うぐらいのオープニングでしたが、途中から少しづつ、確実に主人公が変わってゆきます。ディフェンスや細かい練習風景で注文はありますが、これまでのボクシング映画からみれば安藤さくらさんのボクシングは本当に立派なもんです。(6回戦の男優は・・・ですが)

そして、試合前のプレッシャー、デビュー戦の重圧でセコンドの声がまったく耳に入らない、体が思うように動かない、打ち合った相手と試合後に肩を抱き合う気持ちなど、作品としてとても上手く表現できている。

 

ボクシングの練習を通じて、人としても成長をしてゆく。

心技体、時としてフィジカルの自身がメンタルをいい方向に持っていくこともあります。

 

現実は映画のようなわけにはいきませんが、それでもジムにいると、このジムでの練習を通じて、その人が「のぼりきる力」を身につけてゆく場面に立ち会える事があります。

演技競技、スパーリング大会そして公式戦といった、自分を試す場へ、まるで一本道のように繋がる普段の地味な基礎練習、集中した対人練習、シミュレーションを続けるコンビネーション、汗を絞り出すようなサンドバッグなどなど。もちろん、個人競技でありながらも不可欠なのは、それを応援し、パートナーになる周囲の練習生です。彼らは苦楽を共にした仲間にエールを送ります。その場には立てないまでも、裏方に徹して応援することで、同じように何かを身につけてゆきます。

もし時間があったら、100円の恋を観てみましょう。

それがボクシングではなくても、何かを始めるにはいい季節です。

そして、百円の恋みたいになりたくなったら、遊びに来て下さい。