世界チャンピオンが目指すもの

2025.01.13

新年早々、秋田県の高校ボクシング部の精鋭と大森ジムの選手がスパーリングを出来ることになった。
秋田金足農業高校で教える元スパーフェザー級チャンピオン三浦選手と秋田西目高校の渡会顧問が引率し、秋田県のピン級からライトウェルター級まで選手5名が上京。
引率者・選手とも全員が真摯で礼儀正しく、スポーツに関わるものはかくありたいと思う爽やかさが印象的だった。

高校生とはいえ練習量は社会人の比ではなく、年末年始の長期休暇明けの社会人との手合わせはやや不安があったが、初めてということで高校ルールに従い1Rは2分、またスパーリング希望者も多かったためラウンド数を制限して、なるべく多くの組み合わせになるよう実施した。結果的には怪我もなく、お互いに良い練習になったのではないだろうか。
ただ、高校生選手側からすれば、慣れないアウェーで大人相手のスパーリングにかなりの緊張があったのも事実。シャドウやミットで見せていた本来のフットワークなどが出せていなかったように思う。それも今後の糧になればと思う。

逆に、ホームの大森ジム社会人選手団はまとまりを見せ、全員で応援やスパーの準備をするなど、個人競技であっても、同じジムで練習をしてきた一体感はとてもよかった。普段は別々の仕事をして、それぞれが向き合う大変さがあるが、ボクシングを通じてお互いが知合い、切磋琢磨し、つながってゆく、大人の運動部たる、社会人のジムを運営していて良かったと思う瞬間である。

三浦選手とは大森ジムのトレーナーがJSPOのコーチ3研修で知り合ったのが縁で、今回のスパーリングの実施に至った。ボンバーレフトで知られ、海外含めて世界を4度防衛した名チャンピオンであるのは周知であるが、実際にお会いして感じたのは、謙虚で武芸を極める武人のような印象だった。毎日4~5時間の追い込み、世界王者になるときの相手のパンチに対する究極の感覚、サウスポーがオーソドックスの左フックをもらう時が引き際など、頂点を極めたボクサーの話はとても興味深かった。
それでいて、引退したら地元で後進の指導に当たると決めていて、現在は高校生を教えることの難しさや父兄の対応などで時には苦慮することもるという、今度はアマチュアボクシングの指導者としての道を歩んでいる。

今年のインターハイは岡山で開催され、各都道府県の予選がこの春から開催される。ぜひとも秋田の選手には頑張ってもらいたい。

余談だが、秋田といえば、きりたんぽ、ハタハタ、比内地鶏、いぶりがっこの名物に加えて、乳頭温泉郷に代表される温泉、角館などの歴史的な街並みと、ちょいと遠いが、頭の中の行くべきリストでは常に上位にある。