世界を目指すアスリート

2018.05.4

自動車のマーケティング、ボクシング、それぞれの仕事を通じて3人のアスリートと話す機会があった。

直近では、トレイルランナーの上田ルイ選手。日本トレイルランニング界のホープで、世界でも有数の大会であるウルトラトレイル・デュ・モンブランのCCCクラスで日本人初の準優勝した経歴を持つ。CCCはCourmayour-Chanpex-Chamonixと言い、距離101.1km 累積標高差6,092m このコースを12時間15分で走破する。トラックや路上のような平坦なコースではなく、瓦礫の、場合によっては滑落する危険がある山岳コースであり、メインとなるUTMBは169.4km 累積標高差9,889mにもなる。来年は練習の拠点をフランスシャモニーに移しこの169.4kmを狙っている。すでに仕事と練習の合間を見つけてフランス語学校に通っているとのことだ。

http://www.renault.jp/information/news/lp/kadjar-ambassador-uedarui.html

二人目はボクシングの杉田ダイスケ選手、高校・大学・社会人とアマチュアボクシングで140戦以上(110勝)の戦歴を誇り、警視庁警察官の職業はそのままに今年プロボクサーとしてデビューした。警察庁から警察のイメージ向上のため特別の依頼があったそうだ。若い社会人としては、一つのキャリアをまっとうすることも大変だと思うが、見事に二つのキャリアを両立して活躍している。デビュー戦では元東洋太平洋ランカーを完封し判定で勝利を飾った。プロテストも、相手は元東洋太平洋チャンピオンという通常の選手では考えられないハードルをクリアしている。

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最も若かったのが、レーシングドライバーの笹原右京選手。レーシングカートのROTAX世界選手権で二度世界一に輝き、ユーロノバレーシングから欧州のフォーミュラルノーにステップアップ。初めてあったのはスパフランコルシャンのレースで、まだ高校生ながら単身オーストリアに留学し、頂点のF1を目指してチャレンジを始めたころだった。その後は最もF1に近い日本人レーシングドライバーと言われNECからユーロカップに挑戦するまでに至ったが、現在は22歳、日本に帰国し紆余曲折を経験し今年はF3を走る。

BACK ON TOP STEP OF PODIUM!

三人とも順風満帆というわけではなかった。上田選手は怪我で高校時代タイムが伸びず、大学では体育会陸上部ではなく同好会に所属していた。たまたま参加したトレイルランニングで才能が開花し、人間の限界のようなレースで、さらに上位を目指す。杉田選手はあの井岡選手と農大ボクシング部の同期であったが、学生時代はタイトルに恵まれず、社会人選手権で全日本のタイトルを獲得、プロデビューは井岡選手が引退後になる。笹原選手は国際F3の舞台まで経験したにもかかわらず資金的な問題で帰国。モータースポーツは個人の才能だけでなく資金力が不可欠なファクターであり、ステップダウンを余儀なくされたものの、現在はスカラシップを利用してF3に返り咲いた。

おそらく、本人たちが目指す頂きにはまだ道半ばであろうが、時には後退も余儀なくされながらも、想像を超えるような課題をクリアしながら前に進む姿勢には敬意を払いたい。上を目指せば目指すほど道は困難を極めるが、ぜひとも頑張ってほしいものだ。